コラム自民大敗の様相――なぜ6・25選挙に固執するか? |
栗本オピニオンレーダー・エッセイ |
自民は、当初、6月には総選挙なんかしない目算で3月を乗り切った。勿論、いろいろいきさつがあって、一時、2月には4月選挙だぞという構えもあったわけだ。例の新潟の白川氏攻撃などは、これに合わせて仕掛けられたものだった。その仕込みは、4月選挙を目論んでいた2月下旬のことであった。これは経済情勢その他で消えて行ったのだ。 ところが、小渕前総理が4月1日に倒れ、意識不明―死亡という不慮の事故が起き、これを利用しようということ、小渕から森への政権交代における不明朗で違法な手続きへの批判を選挙騒ぎの中でごまかそうということから6月25日投票の日程が急浮上した。この6月25日は、小渕恵三の誕生日であり、6月初めには小渕葬儀が「行なえる」。このイベントを盛り上げて、自民党への投票に利用しようという計算である。
といったことが明確になってきた。でも、自民党は、こういう調査でも自民党自体への支持率はそれでもあまり減っていないということを盾にとって、選挙強行の構えだが、内部にがたつきはそうとう出始めた。さらに後述するように、もう一つのマイナス要因が自民にはあるのだ。かくて5月23日の総務会では、先送り論が出された。執行部は、もみ消しに必死になったようだが、これはもともと都市の自民党の気分であった。任期いっぱいまでやって、夏に補正予算をはっきりちらつかせた後にしてほしい、というものである。補正予算は普通、田舎に行くが、そこを工夫して都市にもくれというものだ。大都市東京では、自民党は露骨に公明・創価学会に3選挙区も譲った。そこでとうとう森田健作まで、記者会見を開いて自民離党である。自民支持者にも自公連立批判は大きくなってくる一方だ。
夏は自民党の選挙にとって、一種の掻き入れ時だった。納涼会、盆踊り、各種慰安旅行への同行で、団体票や地域親睦会系の票を保守票として固めるわけである。そこそこの競合相手を持っていて、その上、新人というような場合は、夏を越して秋に選挙をして欲しいというのが本音だろう。一方、早ければ早いほうが良いというのは、旧人で民主党が明らかに弱いというような場合だ。こういう連中は、選挙を早く片付けて、次のポストを狙いたいと思っている。そして大体、農村部の議員だ。 そうなのだ。野中は、公明とのパイプを武器に各種選挙の候補者選びに腕力を振るってきた。都知事選、山口知事選、参議院選挙、いずれも党内ににらみは利いたが、結果は見事に惨敗である。つまり、最初に挙げた疑問にプラスして「野中は、選挙に弱い」という条件があるのだ。実は、これが6月選挙への疑問の5番目である。 これでも、6月選挙を強行するわけは分からない。何か隠しだまがあるとも思えない。都知事選のときでも、そんな噂は流したが、完全に噂だけだった。 |
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