ホモ・ステータセンス |
栗本が語る政治の世界 |
自民党はいつ分裂するか | |
近著「自民党の研究」(光文社)でもあるいは本連載(雑誌『論争』東洋経済刊『現代政治の秘密と構造』─単行本化後も続行中)を軸にした「現代政治の秘密と構造(東洋経済新報社)でも予言したように、自民党は必ず分裂する。理由は、 1.
これまでには絶対なかった党内での路線論争が,
派閥を軸に進行している。深行と言っても良い。これまであったと言われる路線論争は、せいぜい個々の有力議員が自分の意見開陳というかたちでされていたもので、組織的なものではなかった。 加藤派の幹部白川勝彦にいたっては、森田健作をも含む20人以上の代議士を率いて自自公連立内閣は憲法違反だとまで公言している。そこまでに至る対立がこれまであったことはなかった。 2. この対立は,立正佼成会や佛所護念会の強硬反対姿勢にも裏打ちされている。一般にはあまり意識されていないが都市部の自民党候補の選挙はこういう団体の女性陣の協力なしにはまったくサマになるものではないのだ。 だから、この自民のとっての選挙用マシーンの態度が変わることは決定的である。都市部の自自公強硬派とか知事選での明石強硬派の候補は軒並み惨敗してもおかしくない。 前回、自民党は500人中239人の議席を取ったが、このうち19議席が、まぐれ勝ちした東京の議席だった。そのときでも実力相応には12、3議席だったのだから今度はたとえばやっと10である。公明党は比例でやっと3,4としたらいったい誰が都市派保守党の誘惑を拒否できるだろうか。ただこれはどうしても選挙直前でないと起きて来ない話しである。 3. 鳩山由紀夫の民主党は、管民主党の十倍は強敵である。都市部の高学歴層では前から管を偽善派と見る向きが強かった。共産や社民に流れていたそういう票を鳩山は吸収し得る。また保守票の一部も吸収する。 こういう鳩山が、加藤紘一の主張と通じる反米あるいは対国際金融資本自立路線を主張していることは大きいと見るべきである。ただ、これは構造的共通土俵が出来ただけと言えば言えるが、そういうことはこれまでなかった。 以上三つのような条件は、これまでまったくなかったことだと考えてしかるべきだろう。自民党的に見れば、三つのうち二番目が最も決定的だと言える。 |
小沢一郎が自民党を割ったとき、要するに改革派だという旗印と、小沢なら選挙の面倒を見てくれるだろうという期待がすべてだった。だから、なんと中には市会議員の秘書まで総選挙に出馬、代議士になるという騒ぎにまでなって、実際の自民分裂が現実化したのだった。 あのとき、小沢についていった当時現職の国会議員はほとんど自民党に復帰してしまった。まだその動きは止っていない。ただ鳩山党首になってやや動きが鈍った。 それもこれもすべて選挙のためである。つまり日本の政治は、理念では動かないのである。よく言って選挙9割、理念政策一割だろう。 |
さて要するに、ようやく日本政治に選挙のきっかけさえあれば対国際資本従属派と自立派とに分裂再整理される状況が生まれた。選挙のほうははっきりしている。民主党がよほど国会で頑張らねば(多分、それはない!)小渕政権はなんとしてでも沖縄サミットを乗り切ろうとしてそれ自体は成功するだろう。なにしろ、日本をはっきり自分の子分として世界にアピールしようとしているアメリカも全面協力するからだ。だから選挙は2000年夏から秋のことで、そこまでに自民分裂があるのは一応難しい。 選挙のほかに、枢要なポイントは加藤と山崎の側の準備である。鳩山はある意味でいつでも合同を受けるだろう。それに対して加藤・山崎はついさきごろまで自民党の中枢だっただけに難しい。 それでも実際に政治の現場を踏まねば分からないことだが、議員たちの選挙情勢に対する感覚は異常といってよいほど鋭い。 2000年の総選挙の次に来る選挙(2003年ころか?)では、既にいなくなっているだろう竹下登の指示もなく、金融資本の傀儡となるはずだったクリントンの後継ゴア政権も多分なく、…ブッシュ政権である…アメリカから利食いのために日本に逃げてきた証券市場での投機資金もヨーロッパに逃げていて、自自公憲法違反を呼号する白川勝彦も、もうすこし力をつけ、田中真紀子も加わってということになって、自民分裂が生まれるであろう。田中真紀子問題だけはやや不確定だが、この分析は必ずあたるだろうと断言する。 00/08修 |
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