HOME 政治・経済 医療・健康 21世紀原論 著書
ホモ・ステータセンス

第147国会
衆議院 決算行政監視委員会
第二分科会 質問

2000/04/20

栗本が語る政治の世界

○栗本分科員
 栗本慎一郎でございます。
 最初に、私ごとでございますが、昨年の秋に脳梗塞で倒れまして、今回は委員会で七、八カ月ぶりの質問をさせていただくことになりますが、その身に引きかえまして、小渕前総理大臣の病状につきましては、個人的ではございますが、大変御心配させていただいており、よろしければ外務大臣の方からも、ぜひとも今後も頑張っていただきたい、また勇気と希望を捨てないでいただきたいという御伝言を賜れば幸いでございます。
 また、本来ならば河野外務大臣がその後をお継ぎになるんではないかと私は自分のホームページで四時間ほど予測いたしましたので、そうすると、ここでお会いできなかったので、その意味で残念でございます。
 質問申し上げます中身は、中近東に対する我が国の外交政策ということでございますが、私は、実は昨年の九月から十月にかけて、それが脳梗塞で倒れる原因の一つになったという説もあるぐらいなんですが、イラクに行ってまいりました。そして、イラクにおける、首相というのはおいでにならないですね、第一副首相、実質首相として国際的にも認知されていると思われますタリク・アジズ氏と、一時間、国際問題、日本の問題、アメリカの問題について意見を交わしてまいりました。
 そのときから私は実は体調がちょっと悪かったのですが、首相とのアポイントメントをとれたこと自身が大変なんであります。たしか、我が国の天江前局長が行ってもお会いになれなかったということだと思いますけれども、私が一方的に日にちをずらしても、待っていていただきまして、予定の時間三十分を二倍にして、もう通訳を交えず話をした。今でも私のホームページに、外交官の方もちょっとお読みいただけるとありがたいんですが、世界情勢、日本の位置についての英語版のサイトもございますが、彼はそれを読んでいる、そういうような関係でございます。
 そこで、いろいろなことを忌憚なく、私の方も別にイラク派としてこれまでやってきたわけじゃありませんので、核査察等に関しては、きっちりとシロならシロであるということを我々にも見えるように明確にすべきであるし、そういう努力をもっとしてもいいのではないかといったことを含めて、忌憚なく強く申し上げてきたんです。
 その核査察の問題でなく、まず、いわゆる国連制裁、湾岸戦争以降非常に厳しい形で続いております。これは、さまざまなところに国連制裁があるわけでございますが、このイラクに対しては、特に時期も長いし、また、医薬品も含めて厳しくチェックする。飛行機はもちろん飛ばせない。飛行機はアンマン空港にイラク航空のがあります。多分、もうあんなに何年も置いてあれば飛ばなくなるんだと思いますけれども。それでジープで行ってしまったので、しまったというか、それしかないんですが、往復四千キロでございました。
 町を歩きまして、私はいわゆる恐怖政治と言われた時代のルーマニアとかハンガリーとかたくさん歩いた経験があるのでございますが、全く町の状態はそこに比べると明るい。非常にわかりやすい例で申し上げると、恐怖政治の行われている国では、旅行者がカメラを町の人に向けると、大体逃げるわけであります。ここは行ってもいいよというところは結構明るいんですけれども、よく見ると、後ろの方にその国の政府の方が何となく監視をしている。だから、栗本なら栗本が、こいつは登録されているとオフィシャルなところはオーケーだという感じなんで、これは私、学者時代から随分そういうところへ行きましたので、感じでわかるわけであります。これはいわゆる表面的な恐怖政治とは違う。
 また、タリク・アジズさん自身が、外相御承知かどうか、実はイスラム教徒ではありません。イスラム教徒の国なんですが、キリスト教徒であります。
 これも、クルド族という民族が、トルコ、イラク、イランにまたがりまして二千万人ほどいると言われておりまして、人類学者として私はいると思っておりますが、これはなぜ思っていると言わなければいけないかというと、御承知のとおり、もし本当にいるということになると、つまり、二千万もあればさまざまな意味で自治権を与えなければならない。だから、あいまいに、たくさんそういう人たちがいるけれども何人かわからないという話を、学者以外はしているわけであります。
 これが大体、非常に弾圧されているという話になっております。実は、トルコでいわゆるクルド労働者党の党首が逮捕されまして、死刑判決を受けたということで非常に今国際的な関心の一つになっておりますが、イラクにはクルド人の政党が二つも存在し、与党とは言えませんが、かなりの数で存在している。日本の民主党さんぐらいの比率にはあるんじゃないかというぐらいであります。ですから、我々がCNNニュース等を見て受けるイラクのフセイン大統領のイメージと、現実の統治の実態というのは相当に違うという印象を強く持って帰ってまいりました。
 そういう国に対しまして国連制裁が非常に長く続いているのでありますけれども、そこでは、もう本当にあらゆるものが輸入禁止であるという格好になっている。国民の多くの方が大体月収三ドルぐらいで暮らすというような状態でありますから、いわばこれはどの国でも起きる、簡単に言いますと、こそ泥であるとか、余りにも苦しいためにちょっと下級の官吏の人が少し何かくれというふうな話がないとは言えません。しかし、その辺がまた針小棒大に言われているところがありまして、基本的には全く大丈夫でありましたし、何よりも明確な事実として、先ほどのカメラですね、旅行者がカメラを持って深夜の一時でも二時でも町へ行っても、何の危険もないわけであります。
 これは外務省の方にも直接申し上げておきましたけれども、バグダッドに我が国の大使館があるんですが、臨時代理大使が今も任命されておりますけれども、バグダッドにいない。東京にはイラクの臨時代理大使がいる。
 タリク・アジズさんは大変ユーモアの、エスプリのきいた、自分の言葉でしゃべれる世界の政治家の数少ない一人であると思いますけれども、大変ユーモアに満ちた言葉で、我々貧乏イラクが、あのあなた方の非常に価格の高い、生活費の高い東京に臨時代理大使を置いているのに、この治安のいい、ここを強調していましたが、この治安のいいバグダッドに何で日本の大使館は、大使館をいわば開店休業状態にいたしまして、法律的にはあるんですけれども、いない。これでは困るじゃないかと。
 日本だけというわけじゃないんですけれども、しかし全世界でもないわけですね。この辺に関しまして、そういう意見を賜りまして、私は一議員の立場として、自分の印象からいってもそれはおかしいと思うというふうに言ってまいったわけでございます。
 まず、イラクに対する基本的な態度ということの前に、そういういわば形式的に公平を欠いているじゃないか、いかなる理由があるのか。私の考えでは全く、アンマンにおいて、バグダッドはひょっとしたら危ないかもしれませんよという話を私はたくさん受けたんですが、そういうことを言っているメリットは何もなく、デメリットだけではないだろうかという疑問がございます。ぜひとも大使館の、開設じゃないですね、開設しているんですから。大使館員及び臨時代理大使を戻して、公平な、対等の外交関係をまずつくるという御要望を申し上げたいんですが、その辺についてのお考えを賜りたいと思います。
○河野国務大臣
 まことに御無礼なことを申し上げますが、きょうの委員会におきまして、松浪議員といい、藤田議員といい、また栗本議員といい、私にとりましては大変示唆に富むお話をいろいろと伺う本当にいい機会をいただいたことに、お礼を申し上げたいと思います。
 とりわけ栗本議員におかれては、イラクという、正直我々にとって情報が極めて少ない地域に行かれて、今お話を伺っただけでも、恐らく議員のイラクにおける経験のほんの一片であろうと思いますが、我々にとっては大変貴重なお話を伺ったような思いがいたします。
 おくればせで申しわけありませんが、議員が健康を回復されたことは、本当にそういう意味でも私にとりましてはうれしゅうございますし、貴重な議員の経験をぜひ国政に生かす意味でも、お体をおいといいただきますようにお願いを申し上げます。
 また、同じように、小渕前総理にお見舞いをいただきましたことにお礼を申し上げますと同時に、何かの機会に御家族に議員のお気持ちはお伝えするようにさせていただきたいと思います。
 さて、今非常に率直に大使館の問題についてお尋ねでございました。事務当局に確認をいたしましたけれども、例えばG8のメンバーの中でイラクに大使館がある国、ない国、いろいろあるわけでございますが、正直申し上げると、大使館があってきちんと大使がいて仕事をしているという国は、ロシアがそうだということでございます。また、ドイツもまた、これは必ずしも一〇〇%大使館として動いているかどうかは若干クエスチョンマークがあるようでございますが、ドイツもまずそういう状況に近い状況だというふうに報告を聞きました。
 さらに、アメリカ、イギリス、フランス、イタリーとなりますと、これはイラクに、バグダッドでございましょうか、利益代表部という形で、大使館ではございませんけれども、利益代表部を置いている。これは当然さまざまな情報はそこから得ることができるであろうというふうに思います。カナダは公館を持たないということでございました。
 さて、我が国でございますが、我が国の状況は今議員がお話しになりましたように、大使館は存在しているわけでございますが、現実に、日本から行っております館員はバグダッドにはおりませんでアンマンにいるわけでございます。情報収集ということも兼ねてバグダッドに行くことももちろんあろうかと思いますが、常駐していないというのは事実でございます。現地のクラークがいるというふうに、あわせて報告を聞いております。
 今議員がお話しのように、イラクは日本に大使館があってちゃんと仕事をしているのに、なぜ日本はバグダッドに常駐していないのかというお話でございますが、これは恐らく、こうした状況、こうした事態が始まりました最初は一九九一年でございますか、一月に在イラク大使館員がイラクを出国して以降、こうした状況がずっと続いているわけでございます。これらはいずれも大使館におきます仕事がどういう状況にあるかということを私はさらに調べてみなければなりませんが、事実はそういうことになっておりまして、現在のイラクが国連の決議その他によって、いろいろな条件といいますか、状況を迫られている中で、なかなかそれがそのとおり進んでいないということが問題になるのではないかというふうにも思っております。
 報告によりますと、我が国としては、国連安保理の関連決議の履行をイラクに対して働きかけるとともに、イラクとの対話を行うために過去二十七回にわたってテクニカルミッションを派遣したという事実はある。そのことがどれほど常駐の大使館に比べれば意味があるかということになりますと、状況を踏まえればあそこに大使館員を置けない理由というものもあるのだろうと思いますが、議員が御指摘のような、大使館はあるのに人がいない、甚だ残念だとおっしゃる状況に今なっていることは事実だということを申し上げざるを得ません。
○栗本分科員
決算行政委員会で河野洋平外務大臣に質問する いわゆるG8諸国の関係についてはよくわかりました。つまり、全部があるわけではない。
 しかし、そこはよく御承知のとおり、我が国とイラクの経済的な関係は他のG8諸国とは比較にならないほど強かったことは事実でありますし、そういう意味で、将来の日本のエネルギー政策とのかかわり等々も含めて、世界第二の産油国であります。ですから、努力という意味で、ほかの国が出ていないところもあるから置いていないというのはやはりおかしいし、ぜひとも早目に御検討いただきたい。安全は私が保障いたしますというふうに、私ではなく、タリク・アジズ氏が言っておりました。別におかしなことはないと思います。
 これによって国際的な批判を受けることはまずあり得ないし、逆に、これは耳の痛いことを申し上げますけれども、アメリカの政策べったりのように思えるという、これは疑惑だというふうに私は思いますけれども、また思いたいわけですけれども、あるわけです。そういう意味の疑惑という点であると、イラクは核査察がいろいろあるけれども、実は持っているのじゃないかという疑惑も存在をしているかと思いますが、それであれば、その疑惑よりも、日本がアメリカのイラク政策にべったりであるという疑惑の方が強いということも、これは国際的な世論の中で十分御理解いただきたい、そこからぜひとも自立をしていただきたいというふうに思うわけであります。
 その上でまた、例えばかつて日本の大使館が占拠された、占拠でしたか、そういったことが響いているのはよくわかりますけれども、そういったことがあれば、そのとき判断をするのでもよろしいのではないか。ですから、可及的速やかに、日本は自立しているのだということをぜひともお示しいただくようなことをお願いしたいと思います。
 同時に、なぜまたこういうことをここで申し上げるかというと、たまたま私が復帰してきて質問の機会をいただいたからだけではなくて、これはアメリカ、イギリスの政治家、議会においても非常に今強まっている意見だからでございます。
 先ほど申し上げた国連の制裁が、結果的に非常に過酷なものになり、見方によっては世界で最も過酷なものになっているという中で、イギリスの議員の一人は、イギリスのロンドン名物である二階バスに物資を乗せてバグダッドに運び、これは国際的に報道されておりました。
 またアメリカでは、カリフォルニア州選出の共和党下院議員トム・キャンベル氏とミシガン州選出の民主党議員ジョン・コネアース氏、いずれも非常に信望のある政治家でありますが、彼らを先頭に合計七十人の下院議員が署名をいたしまして、今のイラクに対して行われている経済制裁は当初の目的から外れ、イラクの国民に対する不当な抑圧に結果としてなってしまっているではないかということで、これをリフトアップすることを要求するアピールと署名を、国連事務総長に送っております。私も、それは正しいと思います。
 もちろんその中では、人道的な立場からということでありまして、これは例えば我々が、国としては批判をし、国交もない北朝鮮の人々に対して米を送ろうという話と同じであるのですが、実はその北朝鮮の問題に関しては、本当に国民のところに行くのかという疑惑が存在しているのも事実であります。自民党の外交部会の中でもそういう議論がございました。ところが、このイラクに関しましては、間違いなく人々のところに行く。当局の邪魔は皆無なんであります。
 そういったことで、本当は援助をやるということもあれなんですが、これを外務大臣にお聞きしているわけじゃありません。私がここでお聞きしたいのは、実はそういう経済制裁の解除を求めるアピールをアメリカ議会でもかなりの人数の人々が行われ、それから、まだ結果が十分出ておりませんから途中報告になりますけれども、日本の議会でも、たまたまここに保坂展人議員もおられますけれども、既にこれとほぼ同様の趣旨の署名は何人か集まっております。これを一体何人にして国連にお届けするかということは、ちょっとこれは一種の政治的判断ということではありませんけれども、より有効な方がいいだろうからというふうなことで考えております。
 これは恐らく、どの立場から見ても、今の経済制裁がイラク国民に対する極めて不当な抑圧に結果なってしまっているというふうな、政権に対するさまざまな意見はそれはそれといたしまして、そういうことがございますので、大体そういう動きがあることを外相は御存じであったかどうか。御存じでもしなかったならば、それは上げなかったという外務省の――外相のその大きなお耳には必ず入るべき種類のことだと私は思うのですね。その辺のことをお聞きしたいと思います。
 まず、御存じでしたでしょうか。
○河野国務大臣
 我が国の議員の中にもイラク議員連盟というのがございます。このイラク議員連盟は、あの湾岸戦争当時、大変厳しい状況に立たされて、大変苦しい立場の中にあったということも、私の仲間が何人かその議連に入っているものですから、聞かされたことがございます。
 しかし、そうした中でも、イラクの大使は、そういう議連の仲間に対して自国の主張というものを繰り返し述べていたということを聞きました。当時はなかなか聞く耳を持つ人もおりませんでしたし、聞いても、それはとても大使の話は、湾岸戦争の、つまりCNNを通して見るイラクの姿を見れば、そうした大使の言葉は到底耳に入らない、そういう状況であったと思います。
 その後、随分長い月日がたって、その間に国連から何度かの決議が出、査察を受け入れるようにという要請があり、一時はやや受け入れたような形になって、結局は、どうも国連側の査察が完全に受け入れられるということにならないということで今日の事態になっているわけで、アメリカにも日本にも、そうした状況下でさまざまな動きが出てきている。
 さっき議員がイギリスでもいろいろな動きがあるということをおっしゃいましたけれども、恐らくあの近くの国々は、イギリスにとって長い歴史の中でいろいろなやりとりがあったわけでございますから、もっと言えば、欧米諸国とあの周辺の国々との関係というものと我が国との関係を考えれば、我が国の方は、そういう意味ではかなり真っさらな状況といいますか、我々には余りマイナスの歴史はないわけでございます。そういう状況下で、一方で、石油のエネルギー資源の問題もあるではないかという議員の御指摘は、それは我々もよく承知をしているところでございます。
 しかし、一方で、あの湾岸戦争当時の状況を忘れられない部分というものもございます。あれだけのことが起こり、世界の耳目を集めたあの湾岸戦争というものは一体何だったのかということを、依然としてまだ我々には釈然としないものもございます。さらに、あの当時、日本に対してさまざまな厳しい、誤解に満ちた批判もあったことなどを考えれば、我々としても釈然としない思いもございます。
 また、あの当時、イラクにおりました日本人の中には人質となった人もおりますし、大使館員も厳しい状況の中で仕事をしなければならなかったあのころのことを思いますと、私は外務大臣として、今議員から大変いいお話は伺いましたけれども、本当に……(栗本分科員「事実をお答えください、質問に答えてください、一般論は結構です。よくわかります」と呼ぶ)
 一言だけお許しをいただきたいと思いますけれども、私として、館員を十分安全にバクダッドに出せるかどうかということについてよく考えなければならないと思います。
 事実について申し上げれば、議員の中でそうした動きがあるということは承知をいたしております。
○栗本分科員
 ちょっと話が長引いたので、血圧が上がるといけないもので、失礼いたしました。
 そういうお話はよくわかりますが、そのことは、しかしまた、大臣はよくおわかりだと思いますが、これを犯罪と比較するのは非常によくないことだと思いますけれども、一般論として、我々があることに疑惑がある、その捜査が行われた、あるに決まっているといって捜査をした、その捜査員の中に某国のスパイがいるという話も出て、そのことも含めて十分にはいかなかった、捜査側も完璧じゃなかった、捜査も違法があった、現在出ていない。これの時効というのはどうなるかわかりませんが、殺人で十五年で時効ですね。要するに、今、ある人にとっては絶対真っ黒だというけれども、見つかっていないわけですね。そういう中で、あるに決まっているから続けているというのが今の国際的な、法的な解釈だと思う。これは、やはりおかしいと思うんです。
 しかも、それは政権に対してでありまして、国民に対してあのような過酷なあれを強いているということは別問題だと思いますので、ぜひともそこは、我々の動きが一体何になるか、それは別として、たとえ少数であっても私は筋の通った話だと思いますし、私自身が、イラクのフセイン政権についてプロ・フセイン政権であるとかいうふうなことじゃございません。ちょっと行ってみまして、フセインさん個人に会ったことはないけれども、言われているような恐怖政治とは違うなという強い印象を持ったのは事実でありますけれども。
 私自身が英文でアメリカの新聞に書いた湾岸戦争当時のものがございまして、それは、砂漠に我々は友人を捨てるのか、デザートという言葉でひっかけまして、下手な英語でしゃれをつくりまして、言うならば、多国籍軍と訳されていましたが、本当は連合軍ですね、アライドアーミー。アライドアーミーを多国籍軍、マルチナショナルアーミーとするのは、多分あれは朝日新聞がやったんでしょうけれども、それもまた政治的な、意図的な誤訳であって、それはよくないんじゃないかというふうに同時通訳の人に文句をつけたこともございますが、そういうわけで、必ずしも私はプロ・イラクの立場ではないわけであります。
 そこはぜひ御理解いただきたいんですが、そういったことで、今私どもの動きを御承知であるとおっしゃっていただいたんですが、そうじゃなかったら、榎局長に、何で大臣にその実態のことをきちんとお伝えしないんだという質問をしようと思ったのでありますが、大臣がそういうふうにうまく言っていただきましたので……。
 でも、局長、今の状態でこちら側がちゃんとやるべきことを、つまり大使館員を置くとか、連絡員さえも置いていないというふうな状態で、イラクの側にとってみたら、まともに外交する体制をとっていないのに、ちょっとやってきたから会いたいとかいうのは、それは会わないのも当然だと思うんですよ。
 ですから、それを打開するには、失礼ながら、今度は、局長さんが行って向こうの実質首相であるアジズさんに会おうとかいう話ではなくて、もっと下のレベルで話を詰めながら、そして、できたら大臣に行っていただくような形をとって、中近東問題はぜひとも、今後またさまざまな問題を起こさないように御対応をいただきたいと思うのであります。
 そしてまた、人道的援助という点に関しましては十分の御理解をいただきたい。我々は、近い国であるからという意味で北朝鮮にも人道的援助をすべきなんですが、そこには技術的な疑問が、今申し上げたようにございます。簡単に言いまして、本当にお米を送っても人民に届くのか、軍隊の倉庫に入っちゃって売られるんじゃないか。これは自民党内の議論でありまして、私はもう知りませんよ。
 しかし、そういうあれでありましても、イラクに関しましては間違いないわけです。もしそういうことが行われれば、着くわけです。我々が持っていくこともできるわけです。北朝鮮にはそれができませんね。
 そういったことを含めまして、つまり非人道的なことを国連が続けるということは、また将来の問題に対しても、イラクの国民の側にとって国連に対する不要、不当な反発も強めることになります。その辺をぜひとも、サミットの話題等にはならないと思いますが、広い意味で目を配っていただいて御高配をいただき、また、総理になられましたときには、その辺を上位の順番に置いておいていただきたいということを御要望申し上げて、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○赤城主査
 これにて栗本慎一郎君の質疑は終了いたしました。

Link:ページトップへ戻る

bldot.gif (43 バイト)

政治バックナンバー | 経済 | 国際 | 哲学・生命論 | コラム | 読者メール | ホーム

企画制作 栗本慎一郎事務所
kurimoto@homopants.com

Copyright©電脳キツネ目組クマネズミ工房1999